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リウマチについて

リウマチ・膠原病とは、一体どんな病気でしょうか?

1.関節リウマチ

 関節リウマチは、免疫の異常により、朝のこわばりや関節の痛み・腫れを伴う左右対称の末梢性の多関節炎が生じる病気です。以前に比べ、最近は70-80歳代での発症も増えています。頻度は100人に一人程度とも言われており、比較的多い病気です。
 関節リウマチで関節を包む、「滑膜」という<組織の炎症が生じると、「関節水腫(膝など、関節に水がたまる)」や「滑膜肥厚(滑膜の<腫れ)」などが出ます。リウマチ科の診察では、これらの関節水腫や滑膜肥厚を触診で確認したりします。

関節リウマチ

滑膜の炎症に伴い、炎症細胞が軟骨や骨表面を壊したり、一部の筋肉の腱を痛めたりすることで、辛い関節炎の他、関節部分の変形・強直・手足の変形により、日常生活に支障をきたすことがあります。
関節リウマチの診断の際には、四肢の触診の他、CCP抗体など関節リウマチに感度・特異度の高い自己抗体や、炎症についての検査(赤沈やCRP)、治療の際に必要な一般内科検査(末梢血や肝・腎機能、電解質異常や代謝性疾患の有無など)、及び感染症検査(HBV・HCV・梅毒・結核・真菌など)、レントゲン検査、エコー検査などを行います。レントゲン検査では骨びらんや関節の変形を、またエコー検査では滑膜肥厚や関節水腫、炎症性血管の存在を確認することなどができます。(施設により、また病状により、MRIを用いた検査を併用することもあります。)
 治療は、ガイドライン上では早期に十分量のメトトレキセートまたは抗リウマチ薬を使用し、3-6か月毎に評価を行い、治療目標達成の有無に応じて生物製剤もしくはJAK阻害剤等の併用等を行うとされます。実際には、私は合併症の有無や悪性腫瘍の治療歴、本人の希望、易感染性、年齢、経済状況や理解度・家族の協力状況等を踏まえた治療を行っています。また、関節リウマチに合併する症状として、関節だけではなく、肺(肺線維症・リウマチ結節・胸水貯留)・皮膚(紫斑やリウマチ結節)・目(上強膜炎)・神経障害(多発単神経炎)など全身症状を来たすこともあり、こうした場合は悪性関節リウマチと言う名前を使うことがありますが、悪性腫瘍とは意味が異なります。

2.膠原病

 自己免疫疾患のうち、関節や筋肉などを含め全身の臓器に影響を及ぼすものを膠原病と総称することが多く、①血清反応陰性脊椎関節症(乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、反応性関節炎、SAPHO症候群)②全身性エリトマトーデス③混合性結合組織病④多発性筋炎/皮膚筋炎⑤全身性強皮症⑥血管炎症候群⑦成人発症スティル病⑧ベーチェット病⑨シェーグレン症候群⑩再発性多発軟骨炎などを含みます。
 一部の疾患については特定疾患として国の医療費補助があります。人口10万人あたり数十人~数人程度(牛久市の人口と比較して考えると、市全体で数十人~数人程度)の珍しい疾患です。(ただし、比較的多いシェーグレン症候群と、膠原病の中でも、非常に珍しい再発性多発軟骨炎を除く。)
 免疫とは、ウイルスや細菌などの異物(非自己)から、体を守る仕組みのことで、本来自分自身を攻撃することのないように調節されています。過剰な反応で自分自身が攻撃され、炎症が続く病気が、自己免疫疾患です。自己免疫疾患には、抗体というタンパク質が介在し診断に重要な病気(バセドウ病や橋本病、自己免疫性肝炎、IgA腎症、重症筋無力症など)の他、アトピー性皮膚炎や喘息のようなアレルギー疾患などが含まれます。
 治療は、病気によっても、また同じ病名でも症状や病態により、異なります。

血清反応陰性脊椎関節症

 抗CCP抗体やリウマトイド因子、抗核抗体が陰性で、持続性の体軸関節炎(胸鎖関節、仙腸関節、脊椎)や付着部(腱が骨につくところ)を伴う自己免疫性の関節炎の総称です。

ⅰ)乾癬性関節炎

 尋常性乾癬(皮膚の肥厚、赤い発疹と鱗屑をともなう、特徴的な皮疹があります)に関節炎を伴うものですが、皮膚症状以前に関節炎が先に出る場合もあります。体軸関節炎や末梢関節炎の他、指の腫れる指炎、足底腱膜やアキレス腱などの付着部炎を伴うこともあります。
 末梢関節炎では遠位指節間関節(末端の関節)の炎症が認められたり、エコー検査上は滑車という腱組織に炎症が認められる事などが、リウマチの関節炎とは異なる点です。

ⅱ)強直性脊椎炎

 男性に多く、10-20代で発症し、40代以上の発症はまれです。HLA-B27との関連があり、家族歴が診断時に重要です。レントゲンでは脊椎炎に伴うBamboo Spineなどの変化を、またMRI・CTなどで仙腸関節炎・脊椎関節炎などを評価したりします。

ⅲ)反応性関節炎

 一部の細菌性腸炎や尿道炎などの後に体軸関節炎や末梢関節炎を来たす事があります。尿道炎または子宮頚管炎・末梢関節炎・結膜炎を伴う病気はReiter症候群とも言われます。皮膚や爪の症状を伴うこともあります。

ⅳ)SAPHO症候群

 掌蹠膿疱症に骨関節炎を合併したもの(滑膜炎・ざ瘡・膿疱症・骨化症・骨炎の頭文字をとった病名で、胸鎖関節の鎖骨の腫大と骨化が目立ちます)

全身性エリトマトーデス

 英語での病名には、狼に噛まれたあとのような紅斑、という意味が含まれています。特徴的な頬の紅斑や円盤状皮疹などの皮膚症状が認められる他、中枢神経症状・胸膜炎・心膜炎・腸炎・腎炎・膀胱炎・関節炎など様々な臓器の症状が一度に、あるいは経過中に次々に起こります。
 20-40代の女性に多く、妊娠との関係が問題になることがあります。血液検査で抗核抗体のパターンや抗ds-DNA抗体などの疾患特異的自己抗体の有無、血球減少の有無や、補体の低下の有無、口腔内潰瘍や脱毛、日光過敏症などの症状も併せ、分類基準を参照して診断します
 全身性エリトマトーデス・全身性強皮症様・多発性筋炎/皮膚筋炎様の症状が混在し、血液検査でU1-RNP抗体が高力価となる病気として提唱されました。30-40代の女性に多いとされます。

多発性筋炎/皮膚筋炎

 亜急性の経過で、体幹に近い部分の筋力の低下や関節炎を生じる病気を多発性筋炎、また多発性筋炎の症状に加え、特徴的な皮膚症状を伴う場合を皮膚筋炎と言います。重症・難治性の間質性肺炎の合併を来たす場合、悪性腫瘍を合併する場合、関節リウマチのような関節症状が合併する場合などがあります。
 様々な疾患特異的自己抗体と、筋逸脱酵素及び炎症についての検査などの血液検査も参考に診断・治療を行います。悪性腫瘍合併の場合は悪性腫瘍の治療を優先することが多いです。小児と大人と、発症時期に2峰性のピークがあり、女性にやや多いです。

全身性強皮症

 全身の皮膚や内臓の硬化が特徴的な病気で、レイノー現象や、食道のぜん動運動障害、肺線維症などを伴います。肺高血圧・腸管病変・腎クリーゼなどの合併のある場合はそれぞれの臓器障害に応じた集中的な治療が必要なことがあります。
 疾患特異的な自己抗体では抗セントロメア抗体、抗Scl-70抗体、抗U1-RNP抗体、抗RNAポリメラーゼ抗体などがあり一般的な血液検査に加えこうした検査を行います。

血管炎

 血管の炎症に伴い、全身の様々な臓器に障害を起こす疾患の総称です。高安動脈炎・側頭動脈炎・結節性多発動脈炎・ANCA関連血管炎・過敏性血管炎・白血球破砕性血管炎・IgA血管炎・好酸球性血管炎などがあります。診断のために組織の検査が必要な事もあります。ANCA関連血管炎ではMPO-ANCAやPR3ANCAなどの自己抗体が診断に有用です。

成人発症スティル病

 関節炎・弛張熱・特徴的な皮疹を3主徴とする疾患です。白血球増多やCRP上昇とともにフェリチンが上昇しますが、炎症が強くサイトカインストームの状態になると白血球が減ることがあります。抗核抗体やリウマチ因子の陰性の確認、感染症の合併や悪性疾患の除外が必要です。咽頭痛や脾腫、肝障害をともなうことも多くあります。

ベーチェット病

 口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状(結節性紅斑様皮疹やざ瘡様皮疹など)、眼症状(光彩毛様体炎や網膜脈絡炎など)の4つの症状を主症状とする疾患です。主症状の他、関節炎・血管病変・腸管病変・神経症状・副睾丸炎などを伴うことがあります。HLA-B51との関連が有名です。

シェーグレン症候群

 涙腺や唾液腺の慢性炎症に伴い、涙や唾液の分泌が減り、ドライアイや口腔乾燥などの自覚症状を認めるほか、全身の症状を伴うこともあります。血液検査ではSS-A・SS-B抗体やセントロメア抗体などが陽性になります。ドライアイや口腔乾燥に対しては局所療法にて対処をしますが、全身の臓器障害の合併のある場合はそれぞれに応じた全身の治療が必要です。

再発性多発軟骨炎

 耳介、蝸牛、鼻、気管などの軟骨の他、眼球・関節・心臓・脳などに慢性的な炎症を生じる病気ですが、日本全国で500人前後と、とても稀な病気です。

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