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原発性胆汁性胆管炎

原発性胆汁性胆管炎とは

肝臓はいろいろな働きをする重要な臓器の一つですが、その中の一つに胆汁という消化液をつくるという働きがあります。胆汁は肝臓の中の肝細胞という細胞によってつくられたあと、肝臓内から肝臓外の胆管を通り、いったん胆嚢で蓄えられた後十二指腸に流れこみます。

原発性胆汁性胆管炎(旧称:原発性胆汁性肝硬変)は、自己免疫性肝炎の項で述べた自己免疫機序により、肝臓の中の細い胆管が障害されると考えられている病気です。肝臓の中のとても細い胆管が壊れるため、胆汁の流れが滞ってしまい、血液検査をするとALPやγ-GTPなどの胆道系酵素が通常よりもかなり高い数値になります。さらに、免疫グロブリン(IgM型)の上昇や抗ミトコンドリア抗体という自己抗体が血液中に検出されるのが特徴で、臨床症状としては胆汁うっ滞に伴う皮膚掻痒感が代表的であり、中年以後の女性に多いとされています。また臨床症状も全くみられない無症候性の症例も多く、このような症例は長年無症状で経過し予後もよいようです。自己免疫性肝炎同様難病指定されていますが、症候性で中等症以上が認定要件となっています。

原発性胆汁性胆管炎の症状

原発性胆汁性胆管炎は、非常にゆっくりと発生します。患者の約半数は、初期に症状がみられません

症状を有する場合は、(1)胆汁うっ滞に基づく皮膚掻痒感、(2)肝障害・肝硬変及び随伴する病態に伴う症状、(3)合併した他の自己免疫疾患に伴う症状に分けられます。病初期は長期間無症状で経過しますが、中期~後期になると本疾患に特徴的な胆汁うっ滞に基づく皮膚掻痒感が出現してきます。本疾患に合併することが多い脂質異常症に伴う、皮膚や眼瞼の黄色腫がみられる場合もあります。その他の症状としては慢性肝障害の時期や随伴する病態に伴うものがありますが、ウイルス性慢性肝疾患などとの明確な違いはありません。

原発性胆汁性胆管炎の検査

中年女性で皮膚掻痒感や易疲労感などの症状がみられ、血液検査上肝酵素(AST、ALT)上昇より、胆道系酵素(ALP、γ-GTP)上昇が目立つ肝障害がある場合、この病気が疑われます。しかし実際には自己免疫性肝炎同様、症状がなく健康診断等で偶然肝障害を指摘され、検索の結果診断に至る例も少なくありません。

血液検査では上記した胆道系酵素上昇に加え、免疫グロブリン(IgM型)高値や、抗ミトコンドリア抗体が陽性であることなどが診断の基準となります。画像検査では、肝臓の外にある胆管に異常または閉塞がないか調べます。肝臓の外に閉塞がなければ、問題の部位は肝臓内にあることが示唆され、原発性胆汁性胆管炎の診断が支持されます。

確定診断のための検査法としては、侵襲的ですが肝生検が挙げられます。肝生検によって得られた組織上、中等大小葉間胆管ないし隔壁胆管に「慢性非化膿性破壊性胆管炎」と呼ばれる炎症所見や胆管消失を認めるのが特徴的で、病気の進行度判定に関しても有用です。肝生検以外での進行度判定には、他の慢性肝疾患同様、複数の非侵襲的検査(血液検査や画像診断検査)を組み合わせます。

原発性胆汁性胆管炎の治療法

現在のところ確立した根治的治療法はありません。病期・病態に応じて、以下のような治療が行われます、

ウルソデオキシコール酸(UDCAは現在第1選択薬とされており、初期から投与されます。90%の症例では胆道系酵素の低下がみられますが、進行した症例では効果が乏しいことも少なくありません。UDCAは、特に病気が進行する前に用いた場合、肝傷害を抑制し、余命を延ばし、肝移植が必要になる時期を遅らせるとされています。脂質異常症(高中性脂肪血症)治療薬の1つであるベザフィブラートにも生化学的改善効果が認められており、我が国ではしばしばUDCAと併用されていますが、近年この併用には長期予後の改善効果がないとする報告がありました。最近では、同様に脂質異常症治療薬であるペマフィブラートの併用効果に関する報告が相次いでおり、長期予後に対する影響等の研究成果が待たれるところです。オベチコール酸は、2016年に米国食品医薬品局の承認を受けた薬で、UDCAのみでは治療効果が得られない原発性胆汁性胆管炎患者の多くで、肝臓に関連した血液検査の結果を改善する効果が証明されていますが、わが国では未だ発売されてはいません。自己免疫性肝炎との重複例(オーバーラップ症候群)で、肝炎の病態が強い場合には副腎皮質ホルモンが併用されます。

症候性原発性胆汁性胆管炎では、胆汁うっ滞に基づく症状、特に皮膚掻痒、脂質異常症とビタミンDの吸収障害による骨粗鬆症に対する治療が重要になります。また門脈圧亢進症を来しやすく、胃食道静脈瘤は肝硬変に至る前に出現することがあるので、定期的な観察は欠かせません。肝硬変に進展した場合は、肝癌の併発への留意や腹水、肝性脳症等の合併症に対する対応を要します。

病期が進み内科的治療に限界が生じた場合、肝移植の適応となりますが、重症進行例では手術成績も低下するので、血清総ビリルビン値5mg/dLを目安に、考慮すべきと考えられます。移植の成績は5年で約80%と良好で、脳死移植が少ない我が国では既に生体部分肝移植が定着しており、移植成績も欧米の脳死肝移植例にそん色はありません。

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