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子宮頸がんワクチン

ヒトパピローマウイルスワクチン(HPVワクチン)について

現在、日本で接種できるHPVワクチンには ガーダシル(4価HPVワクチン)、サーバリックス(2価HPVワクチン)、シルガード9*(9価HPVワクチン)の3種類があります。小学校6年生から高校1年生相当の女の子について定期接種(公費)で接種できます。
HPVとは何か、どうして子宮頸がんの予防ワクチンと言われるのかご存知でしょうか。ヒトパピローマウイルスと子宮頸がんの関係、ワクチンについてここでは説明しています。

*シルガード9について、日本では2021年から接種できるようになりました。当初は自費での接種でしたが、2023年4月から定期接種になりました。

*当院ではシルガード9(9価)ガーダシル(4価)の接種をおこなっています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)とは?HPVワクチンとは?

ヒトパピローマウイルスはごくありふれたウイルスで主に性交渉で感染します。一般的なウイルスで生涯のうちに80%の人はかかることが分かっています。

このウイルスにはいろいろな型があります。感染した後、90%の人では排除されるのですが10%が持続感染を起こし、その後子宮頸がんを引き起こすハイリスクな型があります。この子宮頸がんをおこしやすいハイリスクな型のHPVに対して作られたワクチンがHPVワクチンです。

子宮頸がんとは

子宮の入り口(頚部)にできるがんです。以前は40代に多いがんとされていましたが、最近は20-30代の女性に多く、日本では毎年1万人以上がかかって、約2800人が死亡しています。治療成績は年々良くなってきていますが子育て世代、また、妊娠への影響も考えると本人、家族にとって大変大きな影響のある疾患です。

ヒトパピローマワクチンを打つとどんな効果があるのか?

ワクチンに入っている型のHPVの感染を防ぐことが出来ます。ガンを起こすリスクの高いHPVの感染を予防すると、子宮頸がんを発症するリスクは大きく減らすことが出来ます。(ガーダシル(4価)は子宮頸がんの高リスクのウイルス型の65.4%を、シルガード9は88.3%をカバーしています。)このため、HPVワクチンは子宮頸がんワクチンともよばれています。また、尖圭コンジローマという陰部や咽頭にできるしつこいイボの原因となるHPVの型(低リスク型)もあり、それが含まれているワクチンもあります。

ガーダシル(4価):HPV16、18、6、11

シルガード9(9価): HPV16、18、31、33、45、52、58、 6、11

赤字:高リスク型 黒字:低リスク型)

2020年には、HPVワクチンの接種率が高いスウェーデンから、HPVワクチンの接種をうけた人の子宮頸がん発症リスクが63%低いという報告がでました。それまではHPVの感染率を下げる報告のみでしたが、接種開始から年月が経過してきたので、長期的な効果である子宮頸がんの発症リスクがさがったというデータもきちんと出てきました。
ただし現時点でのワクチンでは子宮頸がんの原因となる型をすべて網羅しているわけではないため、子宮頸がんを100%予防できるということではありません。子宮頸がん検診はワクチンを接種しても受ける必要があります。

なぜ小学校6年生から高校1年生相当の女の子が公費の対象なのか?

HPVは性的接触の経験により、だれでも感染する可能性のあるウイルスです。感染前の予防が大切なので、接種年齢が設定されています。子宮頸がんの予防に注目しているため、女の子を対象として始まりました。

世界ではもう少し接種開始年齢が早い国、男の子も積極的に打っている国も多くあります。どうしてそうなのかを考えてみましょう。自分の体、パートナーを大切にする、自分の体も大切に守るということはどういうことか、ご家族で話し合うにもいい機会ですね。

※ちなみに日本国内の薬剤の適応では、サーバリックスは10歳以上の女性、ガーダシルは9歳以上の男女、シルガード9は9歳以上の女性に接種することが出来るワクチンです。接種年齢の上限はありませんが、アメリカでは女性は26歳までに完了しておくことを勧めています。3)男の子でも接種を希望される場合はガーダシル(自費)接種となります。ご相談ください。

このワクチンの副反応にはどのようなものがありますか?

主な副反応として接種を受けた部分の痛みや腫れ、赤みなどの症状が報告されています。また注射に対する緊張や恐怖などがもとになって失神も起こす場合もあるので、今までに採血や注射で気分が悪くなったことがある方は接種時に医師に伝えて、横になった姿勢で打つことで予防できます。アナフィラキシーについては非常に低い発生頻度でこれは一般的なワクチンとかわりません。    
他に一般的なワクチンの重篤な副反応としても報告のあるギランバレー症候群、急性散在性脳脊髄炎などは重い症状としてまれに報告があります。

HPVワクチン接種後の多様な症状について

HPVワクチンの定期接種が2013年4月に始まって接種数が増加した時期に、HPVワクチン接種後に、広い範囲に広がる痛みや、手足の動かしにくさ、不随意運動を中心とする、「多様な症状」が副反応疑い報告として報告があげられました。
この症状についてはその後、詳細な検討が行われ、現在までにHPVワクチンが原因であるという因果関係を証明する科学的・疫学的な根拠は示されていません。またHPVワクチンを接種歴のない同年代の方に同様の「多様な症状」を有する人が一定数存在することが分かっています。
以上の分析、評価を踏まえて、HPVワクチンは定期接種としての接種が継続されています。

当院小児科医より

世界では標準であるHPVワクチンですが、今の日本は接種率30%以下ととても低い状況です。子宮頸がんの発生を確実に減らすことが出来る有用なワクチンです。まずはHPVとHPVワクチンについて良く知って下さい。

小児科医としてこれから大人になる小児科世代に対して、ここ10年近くのHPVワクチンギャップを解消し子宮頸がんを予防していきたいと強く願っています。接種に関して相談したいことがありましたら診察時お気軽にご質問ください。

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