第79回「便秘について」

2020/02/05

第79回 生活習慣病教室「便秘について」

■日 時:2020年1月23日(木)
     14時半~15時半
■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階 大ホール
■講 師:消化器内科 宮原 直樹 医師



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便秘の定義

「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされています。
排便の回数は食べるものや食べる量、個人の体質等によって変化します。その為、毎日出ていなくても、すっきり出せて、お腹の張り等の不快感がなければ問題ありません。反対に、毎日排便があっても残便感や腹部膨満感があるような場合は便秘なのです。

【便秘の原因】
腸の蠕動運動の低下、排便反射が鈍い、便意を我慢する、腸に腫瘍等があり便が出にくい
 
便秘の中には、他の疾患の一症状として生じる場合があります。糖尿病や甲状腺機能低下症、脳血管疾患、皮膚筋炎、うつ病等。さらに、降圧剤や胃薬、鉄剤といった、薬剤により便秘が起こることもあります。


便秘の診断基準

以下のうち、2つ以上当てはまる場合は、便秘症の診断がなされます。

a.4回に1回以上の頻度で、強くいきむ必要がある
b.4回に1回以上の頻度で、兎糞状便または硬便である
c.4回に1回以上の頻度で、残便感を感じる
d.4回に1回以上の頻度で、直腸肛門の閉塞感や排便困難感がある
e.4回に1回以上の頻度で、腹部圧迫等、排便介助が必要である
f.自発的な排便回数が週に3回未満である

また、便は形状別に1~7型に分類され、1・2が便秘、3~5が正常、6・7が下痢となります。

形状
1 硬くてコロコロの兎糞状の便
2 ソーセージ状であるが硬い便
3 表面にひび割れのあるソーセージ状の便
4 表面がなめらかで柔らかいソーセージ状、あるいは蛇のようなとぐろを巻く便
5 はっきりとしたしわのある柔らかい半分固形の便
6 境界がほぐれて、ふにゃふにゃの不定形の小片便、泥状の便
7 水様で、固形物を含まない液体状の便


便秘の分類

●器質性(腸の形に問題がある)
狭窄性:大腸がん、クローン病、虚血性大腸炎
非狭窄性:巨大結腸、直腸がん、直腸重積
 
●機能性(腸の働きに問題がある)
排便回数減少型:結腸に便が過剰に貯留するために腹部膨満感や腹痛などが生じる

<原因>疾患や薬の副作用で腸の動きが悪くなる、ストレス、食事量が少ない

排便困難型:十分量かつ快適に排出できず、排便困難や不完全排便による残便感を生じる

<原因>硬便や腹圧低下


便秘の治療

便秘治療の基本は食事や生活習慣の改善です。

  1. 適度な運動
  2. 食生活の改善(十分な水分と食物繊維)
  3. 排便姿勢
  4. 規則的な生活(排便習慣)

便秘改善の運動として、腹筋を鍛えることが挙げられます。鍛えることで、排便時にうまく腹圧をかけられるようになります。また、体をひねる運動も効果的で、ラジオ体操もお勧めです。

食物繊維を多く含む食品は、1日20gを目安に摂取すると良いでしょう。摂りすぎてしまうと、お腹が張る等かえって状態を悪化させることがあるので注意が必要です。

【排便姿勢のポイント】

  • 前傾姿勢35度

  • かかとを上げるまたは、台を置く

  • 両肘は太腿

  • 背筋を伸ばし、腹筋にだけ力を入れる
  •  
    ※和式トイレにしゃがんだ姿勢が理想的な姿勢とされています。

     
    薬物治療において、これまでは酸化マグネシウムと刺激性下剤が多く用いられてきました。しかし、これらだけでは治療の限界がありました。また、刺激性下剤を長期間常用すると、腸の反応が鈍り徐々に薬が効かなくなりやすいのです。ここ数年、有力な新規便秘薬が使用できるようになり、これまでの問題が改善傾向にあります。
    しかしながら、下剤に頼りすぎずに便秘をコントロールできるようにしていくことが大切です。


    まとめ

  • 快適に出ていれば、毎日出す必要はない

  • 生活習慣の改善が大切

  • 刺激性下剤の連用に注意

  • 新しい薬が誕生し、従来とは異なる治療戦略を取ることができるようになった