第70回「ちょっと気になる認知症のお話」

2018/07/30

第70回 生活習慣病教室「ちょっと気になる認知症のお話」

■日 時:平成30年7月20日(金)
     14時半~15時半
■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール
■講 師:脳神経外科 部長 富永 禎弼 医師


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認知症における統計

認知症患者は年々増加しており、2025年には700万人に達し、65歳以上の5人に1人が占めると見込まれています。
日本は医療の発達等により平均寿命が延びている一方で、健康寿命(健康上の問題がなく、自立した生活が送れること)は大して延びていません。これは、寝たきりの方が増えていることを表します。要介護者が増加し、社会補償が足りていないのが現状です。

物忘れと認知症の違い

年を重ねると誰もが物忘れをしやすくなりますが、加齢による物忘れと認知症とでは、大きく異なります。

加齢による物忘れは、忘れていることを自覚しており、ヒントを出すと思い出します。また、判断力は低下しない為、日常生活に支障はありません。
それに対し、認知症は自覚がなく、体験したこと自体を忘れ、忘れていることに気付きません。つじつまの合わない話を繰り返し行うことも特徴です。さらに、判断力が低下する為、バスや電車に乗れない、車の運転が出来ない等、日常生活に支障をきたします。

認知症は、自覚症状に乏しい為、家族が気づく場合が7割以上を占めます。おかしいなと感じることがあった際は、本人が気乗りしない場合でも、すぐに受診をしましょう!

認知症症状

  • 軽 度:計算ができない、買い物がしにくい
  • 中等度:生活に不具合がでてくる(服装を選べない、一人で買い物ができない)
  • 重 度:生活が成り立たない(人と会話ができない、一人で着替え・入浴・排泄・食事ができない、尿・便失禁)

症状は徐々に進行し、認知機能を失っていきます。もしも、急に状態が悪くなった場合は、違う疾患が疑われます。

認知症の原因疾患

認知症の発症原因として、脳神経外科で取り扱う疾患には、次のようなものがあります。いずれも治療が可能で、早期発見が重要です。

  1. 脳梗塞・脳塞栓症
  2. 脳出血
  3. 脳動脈瘤
  4. 慢性硬膜下血腫
  5. 水頭症
  6. 脳腫瘍(髄膜腫、グリオーマ)

また、認知症には様々な種類があり、3大認知症と呼ばれている主要な認知症を紹介します。

○アルツハイマー型認知症
 認知症の85%を占め、記憶障害や判断能力の低下、徘徊等が特徴です。

○レビー小体型認知症
 幻覚(幻視)や、体の硬直、うつ症状が見られます。

○脳血管性認知症
 日によって、物事の出来る・出来ないに大きな差があり、
 まだら認知症とも言われます。

認知症の診断について

認知症の診断基準には、多様な認知欠損があることや、それらによる社会的・職業的に機能が著しく障害を起こしている等があります。

また、診断方法として、画像診断(CT・MRI)や世界的に有名な「長谷川式認知症スケール」という方法があります。これは、5分程でできる簡単なテスト(年齢や生年月日、記憶力を試すもの)で、30点満点中20点以下の場合、認知症が疑われます。

治療は、リハビリテーションと薬物療法が主体ですが、薬は進行を遅らせるもので、完治させるものではありません。また、明確な予防法がない中、唯一予防に効果があると言われているものがあります。それは、運動です。頭を使いながら体を動かすことが効果的とされています。また、アルツハイマーに関しては世界的に大規模な臨床治験が行われており、結果が期待されます。


例)数字を言いながら立ったり座ったりする、物事を考えながら歩く