第63回「脂肪肝」

2017/06/05

第63回 生活習慣病教室 「脂肪肝」

■日 時:平成29年5月25日(木)
     14時半~15時半
■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール
■講 師:消化器内科 特任副院長 千葉 俊也 医師


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脂肪肝とは

中性脂肪が肝臓に蓄積される病気です。近年食生活の欧米化に伴い、脂肪の多い食事が増えたことにより脂肪肝も増加してきています。

脂肪肝の原因

食事で摂った脂質は、小腸で吸収され肝臓で脂肪酸に分解され、糖質はブドウ糖に分解されて、小腸から吸収された後、肝臓で中性脂肪に変化します。食事からの脂質や糖質の過剰摂取や運動不足等により消費が十分でない場合には、使いきれなかった脂肪酸やブドウ糖が中性脂肪として肝臓に蓄えられます。

お酒の飲み過ぎでも肝臓に中性脂肪がたまります。これは、アルコールが分解する時、中性脂肪が合成されやすくなるからです。また肥満になると、肝臓での脂肪酸の燃焼が悪くなるので、やはり肝臓に中性脂肪がたまります。

さらに、極端な食事制限など無理なダイエットをした人も「低栄養性脂肪肝」と呼ばれる脂肪肝になることがあります。

脂肪肝の診断

脂肪肝の診断に役立つ検査は、血液検査と画像診断検査があります。

<血液検査>
簡便でかつ多くの情報が得られる検査で、脂肪肝ではAST、ALTの異常値が約8割近くの人に認められます。γ-GTP等の胆道系酵素の軽度上昇を伴う場合もあります。また、脂肪肝は生活習慣病と密接に関係しているため、血糖値やコレステロール値、尿酸値の測定も重要です。

<画像診断検査>
腹部超音波検査や腹部CT検査等で特徴的な所見が得られれば、脂肪肝である可能性が高くなります。

しかしながら、脂肪肝の程度や肝硬変に移行する可能性がある特殊な脂肪肝であるかどうかの診断は、肝臓の組織検査が必要となります。

非アルコール性脂肪肝(NAFLD)とアルコール性脂肪肝

脂肪肝は、大量のアルコールを長期間摂取することが原因のアルコール性と、主に食べ過ぎによる非アルコール性に大別されます。日本人の脂肪肝の原因で多いのは後者で、「非アルコール性脂肪肝(NAFLD)」と呼びます。

NAFLDには、症状が軽く改善しやすい単純性脂肪肝(NAFL)と、重症タイプの非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の2種類があります。NASHは、放置すると肝硬変、肝細胞がんへと進行することが知られています。また、NAFLもNASHに進行することがあります。

さらに、脂肪肝は全身の様々な病気を誘発し、進展させます。糖尿病や脂質異常症等の生活習慣病や、それに関連する脳卒中、虚血性心疾患が代表的ですが、他の領域でも睡眠時無呼吸症候群や体重負荷による膝関節症等多岐にわたります。

近年、脂肪肝、とりわけNAFLDが注目されるようになったのはこうした背景によります。

NAFLDの治療

NAFLDの治療は、食事療法や運動療法の日常生活の是正を中心とし、NASHへの進展に注意して経過観察を行います。

肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などのメタボリックシンドロームと関連する合併症を有している場合は、それの治療が必要となります。
現在のところ、NAFLDそのものに確立された有効な薬物療法はありません。

これからNAFLDにならないためにも、また既にNAFLDとされている方も、適切な生活習慣が重要です。暴飲暴食をせず、バランスの取れた食事にし、こまめな運動を心がけましょう。