第57回「むくみ(浮腫)」

2016/06/06

第57回 生活習慣病教室 「むくみ(浮腫)」

■日 時:平成28年5月17日(火)
     14時半~15時半

■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール

■講 師:循環器科 医長 山﨑 明 医師

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むくみとは

血管外の液体が増加し、細胞と細胞の間に余分な水分が溜まった状態をいいます。むくみには、病気によって起こるものと、生活習慣で起こるものがありますが、多くは後者が占めています。

むくみの原因

むくみには様々な原因がありますが、主に生活習慣が関わっています。

○生活習慣によるもの

  • 運動不足(座りっぱなし、寝たきり)
  • 立ち仕事
  • 飲酒
  • 肥満
  • 塩分の摂り過ぎ

○病気によるもの

  • 毛細血管の圧力の上昇(血液の量が増えることで起こる)
  • 血液が薄くなる(血中のたんぱく質や赤血球が減ってしまう)
  • 炎症
  • リンパ系の流れの悪化
  • その他
  • 薬物(代表的なものとしては、カルシウム拮抗剤、インスリン抵抗性改善剤、消炎鎮痛剤、ステロイド剤、ホルモン剤等)でも副作用としてむくみを引き起こすものもあります。

むくみが生じる病気

腎不全

腎臓の働きが半分以下になり、十分な尿を作ることが出来ず、悪いものを体外へ排出できなくなる病気です。結果、全身に水が溜まりむくんでしまうのです。また、血液量が増加し、血管の圧力が上昇することも影響しています。

心不全

心臓の働きが弱くなる病気で、右心不全と左心不全があります。このうち、むくみを引き起こすのは、右心不全です。静脈の圧力が上がって全身から血液が心臓へ戻れない為に、むくんでしまうのです。(左心室は全身へ血液を送り出す働きを行っている為、左心不全になると血液が送り出せず、悪化すると連鎖的に右心不全にもなります。)

ネフローゼ症候群

腎臓の病気で、尿にたんぱく質が沢山出てしまい、血中のたんぱく質が減り、むくみが起こります。また、病気が進行すると腎不全になってしまいます。

肝硬変

肝硬変は、肝臓でたんぱく質を作ることができなくなり、血中のたんぱく質が減りむくみが生じます。

深部静脈血栓症

下肢の深部静脈に血栓ができる病気です。血液が戻ることができず、むくみが生じます。また、痛みや変色等の症状も出ることもあります。しかし、膝より下で詰まった場合は症状がありません。さらに、血栓が飛び肺へ達して血管に詰まってしまった場合、突然死することもあります。

静脈瘤

下肢の表在静脈の弁が壊れ、血流が滞りむくみが生じます。

リンパの流れの悪化

がんのリンパ節転移やがんの手術によりリンパ節を取ってしまうことによりリンパの流れが低下しむくみが生じます。

その他

アレルギーや炎症により血管が拡張してむくみが生じることがあります。

飲酒によってむくむ理由

お酒を飲んだ翌朝、顔や体がむくんでいるという経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
それは、お酒を飲むと毛細血管が拡張し、水分が血管外へ漏れてしまうためです。

また、お酒には利尿作用があり、尿として排出した分の水分を補おうと水分を欲します。つまり、喉が渇いたと判断し、次のお酒を飲みます。

飲酒をすればより血管が開く→また喉が渇く→次のお酒を飲む...結果、むくみが発生するのです。
さらに、おつまみのほとんどが、塩分量の多いものであることもむくみの要因です。

塩分と水分補給

塩を摂ると、血管の中に全部吸収されてしまいます。
すると、血液の中の塩分濃度を保つために、水分を血管の中に引き込もうとし、水分を沢山摂りたくなります。
その結果、血液が増えて血圧が上がり、血管の中に水分が溜まってむくむという流れになっています。

一方、水分摂取だけでは、むくみの原因にはなりません。
飲んだ水分は、一度全て血管の中に取りこまれ、血液の量は増えますが、腎臓で速やかに処理されて尿として排出される為、正常な人はむくまないのです。

しかし、心臓や腎臓が悪い人は処理能力が低下しているために、むくんでしまうのです。

※1日の水分摂取目安量=体重㎏÷30
(普通体型の人は、おおよそ1日1.5~2リットル必要)

むくみの治療について

一番は、生活習慣の改善、体を動かすことです。また、立ち仕事の場合には、間に休憩を入れる、むくんできたら脚を高くする、マッサージをする等、些細な事で比較的改善できることが多いです。
それでもだめな場合は薬剤を使用します。また、弾性ストッキングや弾力包帯、空気圧マッサージ機を使用することも方法として挙げられます。

なかなか改善しない場合や痛みが伴う際は、一度受診することをお勧めします。