第56回「乳癌の診断と検査」

2016/03/17

第56回 生活習慣病教室 「乳癌の診断と検査」

■日 時:平成28年3月4日(金)
     14時半~15時半

■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール

■講 師:総合外科 藤田 俊広 医師

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乳癌は女性の病気として認識され、男性には無関係のように思われがちです。しかし、男性がかかる可能性も非常にまれではありますが、ゼロではありません。実際に乳癌で亡くなった男性もいらっしゃいます。男性も知識として知っておいて損ではありません。気になることがあれば乳腺科を受診してみてはいかがでしょうか。

近年増えている乳癌

現在日本では、大腸癌や胃癌の患者数が毎年横ばい、あるいは減少傾向であるのに対し乳癌は年々増加しています。日本人女性の癌罹患率第1位でもあります。以前は20~25人に1人の割合でしたが、近年12人に1人まで増加し、非常に身近なものになってきています。もはや他人事ではなく、ご自身もしくは身近な人がかかる可能性も十分にあり得る病気なのです。

増加の要因としては、絶対的な数が増えていることはもちろんですが、検査の精度が良くなり、早期で癌を発見できるようになったことも関係しています。早期発見できれば完治が期待できますが、様々な理由からそれが難しいのが現状です。

乳癌の特徴

乳癌は、ほかの癌と比較すると、随分と違う特徴があります。

<年齢層>
若年層もかかるのが大きな特徴です。多くの癌は高齢になってからかかることがほとんどですが、乳癌は女性ホルモンの影響を受ける為、20代~40代の患者が多くいます。仕事や家事、育児と一番忙しい年代であるが故に、早期発見が出来ず、手遅れになってしまうケースも少なくありません。幅広い年齢層がかかる病気であり、油断が出来ません。

<完治>
早期で見つかれば治るのも特徴の一つです。癌の進行状況をステージ0~4で表現しますが、ステージ0で見つかった場合、100%完治が期待できます。検診で見つかる際は、ステージ1~2であることが多いですが、ステージ2まで進行していても4人に3人は治ります。治療方法や手術の精度が良くなっていることが要因としてあります。早期で見つかれば見つかるほど、治る確率は高くなるのです。しかし、かなり進行した状態で見つかれば、完治は難しいこともあります。

できやすい部位と種類

乳頭を中心に乳房を5つの部位に分けて診断します。最もできやすいのは、外側上部(脇の近く)です。次いで内側上部、外側下部、内側下部、乳輪部の順になります。また、左右差の点では、左の乳房にできやすい傾向があります。

乳癌は乳腺(乳管・小葉)から発生します。そこから「腫瘤」と言って、しこりが作られます。しこりは硬く、表面がでこぼこしており、「非浸潤癌」と「浸潤癌」に分かれます。

【非浸潤癌】
  • 乳頭から分泌液がある
  • 腫瘤が乳管や小葉に留まっている状態
  • リンパ節転移や遠隔転移を起こすことはなく、完全に切除すれば完治が望める
【浸潤癌】
  • しこりとして発見されることが多い
  • リンパ節転移や遠隔転移を起こす

乳癌の原因

ほかの癌と同様に遺伝はもちろんですが、女性ホルモンや食生活の欧米化による肥満、女性の社会的進出にともなって増加している高齢出産や独身の増加等、様々な原因があります。また、片側の胸で乳癌を発症すると、もう一方も乳癌になる確率が高くなります。

<主な原因>
一親等の乳癌家族歴、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がない、飲酒・喫煙習慣、運動不足、肥満、偏った食事

検診について

日本では、人間ドッグでの検診や市区町村や公共機関から提供される無料の検診等、いろいろな方法があります。このように検診を受けようという気持ちさえあれば受けられる環境にあるにも関わらず、先進諸外国と比べると日本は意識・検診率ともに低いのが現状です。面倒である・時間が作れない・情報が行き渡っていないなどという理由から3人に1人検診を受ける程度に留まっています。

検査の方法は3種類あります。

  • 視触診
  • マンモグラフィー
  • 超音波検査

基本的には、マンモグラフィーで異常が見つかった場合は超音波検査を行うという流れになります。しかし、マンモグラフィーで見つからなかった病変が超音波検査で発見されることもありますので、どちらか一方ではなく両方の検査を行うとよいでしょう。また、視触診は自身でも簡単にできます。鏡の前に立ち左右の形を比較したりして、しこりがないか触って確かめてみましょう。

早期発見し完治する為にも、定期的に検診を受けることが非常に大切です。

治療法

主な方法として、手術、ホルモン治療、抗がん剤治療、放射線治療が挙げられます。これらの中から患者の状況やがんの進行状態を考慮し、その方にあった治療法を選択しますが、手術を軸に、薬物治療と放射線治療を合わせて進めていくのが主流になります。

昔は乳癌の手術というと、広い範囲を取り除いていましたが、最近では先に述べたようにいくつかの方法を組み合わせて治療を進めていく為、取り除く部分を最小限に留めることが可能になりました。手術の選択肢として、胸全体を取ってしまう手術と一部を取る手術があり、部分的だと傷口が小さく胸も残すことができます。

しかし、場所によっては(乳首に近いところ等)、癌が小さくても、そして早期発見でも胸を全摘出しなければなりません。逆に進行していても、温存できることもあるのです。

癌を防ぐための12箇条

  1. たばこは吸わない
  2. 他人のたばこの煙をできるだけ避ける
  3. お酒はほどほどに
  4. バランスのとれた食生活を(ビタミンや繊維質を摂るように)
  5. 塩辛い食品は控えめに
  6. 野菜や果物は不足しないように
  7. 適度な運動
  8. 適切な体重維持
  9. ウイルスや細菌の感染予防と治療
  10. 定期的ながん検診を
  11. 身体の異常に気がついたら、すぐに受診を
  12. 正しいがん情報でがんを知る

まとめ

  • 乳癌は年々増えており誰もがかかりうる非常に身近な病気である
  • 定期的に検診を受けることが重要である
  • 早期に発見し治療を行うことで完治する確率は高くなる