第54回「骨粗鬆症と骨折」

2015/12/09

第54回 生活習慣病教室 「骨粗鬆症と骨折」

■日 時:平成27年11月7日(土)
     14時半~15時半

■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール

■講 師:整形外科 神代 秀彬 医師
     

骨粗鬆症とは

骨がもろくなり、骨折が生じやすくなる疾患です。骨がもろくなるため、わずかな衝撃でも骨折しやすくなります。厄介なことに骨粗鬆症になっただけでは症状がなく、徐々に背骨が曲がったり身長が縮んだりといったことが起こるため、症状が進行してから気づくことが多い病気なのです。骨折することで寝たきりになったり、歩くのに杖が必要になったりと生活の質が低下する原因になってしまいます。

骨形成と骨吸収

骨は一度できあがってしまうとその後変わらないもののように思われますが、一生同じ骨ではありません。毎日古くなった骨は壊されて新しい骨が作られて...を繰り返しながら日々新しく生まれ変わっています。しかし、骨粗鬆症の方は、何らかの原因で骨が壊される過程と作られる過程のバランスが崩れ、古い骨が壊されるスピードに新しい骨が作られるのが間に合わなく骨がすかすかになってしまいます。
このように骨が作られることを「骨形成(こつけいせい)」、壊されることを「骨吸収(こつきゅうしゅう)」と言います。

※骨吸収...骨を壊す細胞であり、骨細胞が古くなった骨を溶かす。
※骨形成...壊された骨が溶かされ、そこに骨芽細胞と呼ばれる細胞が新しい骨を作る。

骨粗鬆症は男性よりも女性に多く見られます。特に、閉経後の40代後半から50代にかけて増加します。これには、女性ホルモンが関係しています。女性ホルモンであるエストロゲンには、骨吸収の力を弱める働きがありますが、閉経することでエストロゲンが減少する為です。また、男性よりも筋肉量が少ない為、加齢に伴って体を支える力が弱くなり、転倒、骨折しやすいことも挙げられます。

診断基準

骨粗鬆症は、骨密度の測定やレントゲン検査を行うことでわかります。その際、ポイントとなる点が2つあり、いずれか一方でも当てはまると、骨粗鬆症であると診断されます。

  1. 背骨や股関節の骨折などの脆弱性骨折がある
  2. 脆弱性骨折がなく、骨密度が若い時と比べて70%未満

脆弱性骨折とは、ちょっとした段差につまずいたり、しりもちのような軽い衝撃で起こる骨折のことを言います。中でも、股関節を骨折してしまうと寝たきりになってしまう確率が高く、必ず手術を行わなければなりません。また、残念なことに骨折をして手術や治療を行っても、以前と同じように動かせるようにはならず、可動範囲がどうしても狭くなってしまうのです。

治療法

【治療の目的】

  • 転倒・骨折の予防
  • 骨密度低下の予防

○食事療法

1.カルシウム...骨形成において不可欠な栄養素

1日700~800mg摂取することが望ましい。 
沢山摂っても、体の中に吸収される量は限られているので、過剰に摂取する必要はありません。

<多く含むもの>プレーンヨーグルト、牛乳、チンゲン菜、ほうれん草、納豆

2.ビタミンD...カルシウムの吸収を助ける為に必要な栄養素
日光に当たることで、皮膚でも作られる。

<多く含むもの>きくらげ、いわし、ウナギ、しらす干し、きのこ類

3.ビタミンK...骨を作る骨芽細胞に作用し、骨形成を助ける働きをする栄養素

<多く含むもの>納豆、モロヘイヤ、パセリ、しそ、海藻

これらだけを摂ることが食事療法ではありません。バランスの良い食事をすることが食事療法なのです。

○運動療法

骨粗鬆症の治療において、運動を行うことは不可欠です。骨は負荷をかけることで強く丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかりと支えられるようになり、転倒や骨折のリスクが減少します。
運動をしないと筋力はどんどん落ちてしまいます。その為、定期的に運動を行い、足腰の筋力低下を予防し、転倒予防に繋げることが大切です。

<運動内容>
ウォーキングやエアロビを1日30分程度行うことが効果的です。
特に、ウォーキングは、手軽に始められる上に、日光を浴びることによってビタミンDも取れるのでお勧めです。あまり激しい運動をすると、かえって膝や腰を痛める可能性があり、逆効果になってしまうので注意が必要です。

○薬物療法

骨粗鬆症の治療薬には、体内のカルシウム量を増やす薬や骨の形成を促進させる薬、骨吸収を抑制する薬等、様々な作用を持つものがあります。また、飲み薬、点滴、注射等、投与方法も多種に渡ります。当院では、飲み薬と注射剤を用いて、患者様一人ひとりと相談しながら、その方に合った薬剤を選択しています。

まとめ

  • 骨折による生活の質の低下を防ぐため、生活習慣の改善が大切です。
  • カルシウムを上手に摂取しながらバランスの取れた食事を心がけましょう。
  • 適度な運動で筋力をつけて転倒・骨折を防ぐ体づくりをしましょう。