第53回「C型肝炎のお話し」

2015/11/24

第53回 生活習慣病教室 「C型肝炎のお話し」

■日 時:平成27年10月22日(木)
     14時半~15時半

■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール

■講 師:消化器内科 医長 宮原 直樹 医師
     

C型肝炎とは

C型肝炎ウイルスが原因で起こる肝臓の炎症のことを言います。
肝炎にはA型、B型、D型、E型...といくつか種類があります。

C型肝炎は慢性化するものとして有名です。
B型肝炎は小児のころに感染することがありますが、大人になってからでは一過性の感染で終わることが多いといわれております。
一方でC型肝炎は年齢に関係なく、大人になってから感染しても8割くらいの方が慢性化してしまいます。急性肝炎から慢性肝炎になり、さらに進行すると肝硬変、肝臓癌になる可能性があります。また、肝臓癌の原因の8割はC型肝炎とされており、非常に怖い病気なのです。

感染経路

主に感染者の血液や体液を介して感染します。
特に、C型肝炎ウイルスが発見された1989年以前に輸血をしていると感染の確率が高くなります。
しかし、感染しても自覚症状がほとんどなく、感染に気付かない間に症状が進行してしまい、肝臓癌になってしまうことも少なくありません。

C型肝炎に関しては感染予防のワクチンがないので、他者の血液に安易に触れないよう注意しましょう。

C型肝炎の現状と症状の進行

C型肝炎感染者は、全世界で1億7千万人、日本では150~200万人いると推定されています。
しかし日本において医療機関で何らかの治療を受けている人は50万人ほどにすぎず、100~150万人は、自分自身がC型肝炎ウイルスに感染していることを知らずに過ごしている可能性があります。

C型肝炎ウイルスに感染すると、約2割の人は自然にウイルスが体外へ排除されますが、残りの8割の人は慢性化してしまいます。治療せずに放置していると、20年以上の経過で10~20%の確率で肝硬変になり、肝硬変になると年間7~8%の割合で肝臓癌になってしまいます。

今後感染に気づかずにいる人たちをどのようにして見つけ、いかにして早期発見・早期治療へ持っていくかが課題となります。

C型肝炎の治療

<治療の目的>

  • 肝炎ウイルスを駆除する
  • ウイルスを駆除することで、肝硬変への進行を抑えて発癌を抑制すること

大切なことは、あくまでも発癌を予防することであり、肝硬変への進行を抑えることです。ウイルスを消すことは、あくまでもそのための手段です。ウイルスが消えても発癌を予防できなかったら治療の意味がありません。また、ウイルスを消せなくても発ガンを予防できれば治療の意味があるわけです。

<治療法>
大きく分けて2つの方法があります。

  • 抗ウイルス療法
    ウイルスを排除して肝炎の治癒を目指します。その結果として肝硬変への進行を抑えて発癌を抑制することが期待されます。
  • 肝庇護(かんひご)療法
    肝臓の炎症を鎮めて肝炎や肝硬変の進行を抑えます。その結果として発癌を抑制することが期待されます。


従来C型肝炎は、抗ウイルス療法のインターフェロン療法を中心として行われてきました。しかし、インターフェロンは副作用が多く、行いたくても行えない方が大勢いたのが現実です。そのような方に対してこれまでは肝庇護療法が行われてきました。

それに対して、同じく抗ウイルス療法の薬剤として「直接作用型抗ウイルス薬」と呼ばれる薬が開発され、昨年後半から使われるようになってきています。
同じ抗ウイルス薬とはいっても、インターフェロンは体の免疫機構を活性化させて免疫機構の働きで抗ウイルス作用を発揮するとされているのに対し、「直接作用型抗ウイルス薬」というのは文字通り直接ウイルスに作用するものです。
インターフェロンと比較して有効性も高く副作用も少ないといわれており、今後のC型肝炎の治療の中心になっていく薬剤と考えられています。

しかし、治療によってウイルスを排除できても発癌のリスクを完全に排除できるわけではありません。もちろんウイルスが消えることで発癌のリスクはかなり低くなりますが、ウイルスが消えたとしてもウイルスに感染していた時の影響が少なからず肝臓には残っていると考えられます。
そのため、ウイルスが消えた後も定期的な健診は受けていただく必要があります。

医療費助成制度

この新しい薬は1錠6~8万円と非常に高額であることがニュースで話題になりました。それに対して各自治体において助成制度が設けられ、自己負担の上限が納税額に応じて1~2万円で治療がうけられるようになっております。
また、70才以上の場合、高齢者の医療助成制度もあり、これらを利用することで治療がより受けやすくなります。

※詳細については、自治体によって異なりますので、お住まいの地方自治体にお問い合わせ下さい。

まとめ

  • C型肝炎は放置すると高い確率で肝硬変に移行し、肝臓癌を生じます。
  • 近年ウイルスに直接作用し、高い効果が得られる薬が開発されてきました。
  • 治療によりウイルスが排除されても定期的な健診が必要です。
  • 肝炎のほとんどは自覚症状がなく、気づかない間に病気が進行している可能性があるため、積極的に検診を受けるなどして、早期発見・早期治療に繋げることが大切です。