第52回「最近増えている大腸がん」

2015/08/19

第52回 生活習慣病教室 「最近増えている大腸がん」

■日 時:平成27年7月21日(火)
     14時半~15時半

■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール

■講 師:総合外科 曽我 直弘 医師
     
近年日本の主な死因の3割を占めるようになってきた悪性新生物。恐ろしいことに私たちにとって、非常に身近な病気になりつつあります。中でも、大腸がんが増えてきており、今後もさらに増えるのではないかと言われています。大腸がんは早期に発見できれば、治る確率が高い病気です。ちょっとした変化を放っておかずに、検査・受診しましょう。

大腸とは

大腸は、長さが1.5m~2m程ある、食べ物を消化する器官で、食べ物の通り道の最後のあたりに位置します。主な役割は、水分の吸収で、内容物を固形化します。便を溜めておいて形にしたり、粘液を出して便を排出しやすくする働きがあります。

漢字表記「癌」と「がん」の違い

癌とは...
漢字表記「癌」とは、狭い意味で内臓や皮膚、乳腺から発生した上皮性の悪性新生物を指します。たとえば日本人に多い胃がんや肺がん、大腸がん、子宮がん、乳がんなどはいずれも上皮から発生するものです。上皮とは臓器や器官などを覆う表面組織のことで、主に空洞部分に接し、他の器官との区切りや外界からの保護の役割を果たしています。

筋肉や骨などに発生する悪性新生物も癌とは言わず、「肉腫」という言葉を使い、骨肉種等と言います。また、血液やリンパなどに発生する悪性新生物も癌とは言わず、それぞれ白血病、悪性リンパ腫と言います。

がんとは...
「がん=悪性新生物の総称」で、骨肉種や悪性リンパ腫等を含めた全ての悪性新生物を指します。

大腸がんの症状

大腸がんの症状は主に2つ、便の症状とお腹の症状があります。

<便の症状>
下痢や便秘を繰り返す、便に血が混じる、出血がおきる、排便後すぐにまた排便をしたくなる、便が細くなっている

<お腹の症状>
しこりが触れる、お腹が張って便が出ずらい、時折吐き気がある

その他に、貧血(ヘモグロビン値が低い)も症状の1つとして挙げられます。

大腸がんは進行しても症状が出ずらく、特に早期は症状がないというのが大腸がんの厄介なところです。また、症状が痔と非常に似ている為、痔だと思っていたら、実は大腸がんだったということも少なくありません。
もし症状が見られたら、すぐに受診しましょう。

大腸検査

<一次検診>
便潜血検査...便を採取し、便の中の見えない血液を調べるもの。便潜血陽性の場合、痔やポリープ等も考えられるが、大腸から出血している可能性がある。

<二次検診>
注腸検査(レントゲン検査)...肛門からバリウムと空気を入れて大腸を膨らませ、X線撮影をするもの。腸の狭さやがんの大きさ等を正確に見ることができる。

内視鏡検査...肛門から内視鏡を入れ、直腸から盲腸まで大腸の全てを調べることが出来る。万が一、ポリープ等があった際は、組織の一部を採取して検査を行うことも出来る。

ポリープ(腺腫)は放置していると将来的に癌になる可能性があり、早めに摘出しておくと大腸がんの罹患率が減少します。

毎年便潜血検査を受けていれば、受けていない方に比べて大腸がんで亡くなる危険性が40%以下に減少します。また、毎年便潜血検査を受けていて、仮に大腸がんが発見された場合でも、2人に1人は手術ではなく、内視鏡的治療が可能です。そして、検診でがんが発見された場合の5年生存率は、症状が出てから(しこりが触れる・出血がある等)病院に来た患者さんと比較すると、生存率が高いのです。

検診を受けて早期に発見し、治療をすれば、余命に係わることも少ないのです。いかに検診が重要かということがわかるでしょう。

グループとステージの違い

グループ...内視鏡検査によって見つかった組織の一部を摘出し、それを検査に出した結果です。確定診断に必要な検査。

グループ1は正常な粘膜
グループ3は良性の腫瘍
グループ5はがん

ステージ...確定したがんがどれだけ進行しているかを表すもの。

ステージ0は粘膜に留まっていてリンパ節に転移はない
ステージⅠは粘膜の下までもしくは筋層に留まりリンパ節に転移はない
ステージⅡは筋層を越えて漿膜下まで進展するがリンパ節に転移はない
ステージⅢはリンパ節に転移がある
ステージⅣは遠隔転移がある

というように、両方とも数字が大きくなるほど状態が悪いことを示します。
ステージレベルが低ければ、手術を受けて治る確率が高くなります。実際に5年生存率がステージ0の場合、94%、ステージⅠの場合は90%、ステージⅡでも80%となっています。

大腸がんと生活習慣

がんは遺伝的な要因が主ですが、その他に食べ物や生活習慣といった環境要因もあります。

1.肥満と大腸がんのリスク
・肥満は大腸がんのリスクをあげる。
・男性:BMI27以上30未満、及び30以上の方は大腸がんになるリスクが高い。
・肥満は大腸がんだけでなく、乳がんや肝臓がん等の危険因子にもなりえる。

2.魚と大腸がんのリスク
・魚を食べることで大腸がんのリスクが減っているという欧米の研究結果がある。

3.肉と大腸がんのリスク
・赤肉(牛肉、豚肉、羊肉)は、鉄分が含まれていて、消化されるときに
 それらが何か悪さを起こすのではないかと言われている。
・加工肉(ハム、ソーセージ、サラミ)は、亜硝酸ナトリウムという添加剤を使っており、
 それらが体にあまりよくないとされている。

4.身体活動と大腸がんのリスク
・体を動かした方が、大腸がんになりにくく、肥満の予防にもなる為、
 確実にリスクを下げる。
・1日1時間程のウォーキング、週に1度は汗ばむくらいの運動をすることが望ましい。

5.飲酒と大腸がん
・1日のアルコール摂取量が15g増える毎に大腸がんのリスクが10%高まる。
これは、アルコールを分解する際に発生する物質に発がん性があるのではないかと言われているためである。

※1日のアルコール摂取目安

ビール大瓶1本、日本酒1合、ワイン200cc、ウィスキーダブルで1杯

上記の量なら毎日飲んでも良いという訳ではない。休肝日も設けながら適度に摂取をすることが望ましい。アルコールは確実に大腸がんのリスクを上げるので、飲み過ぎに注意しましょう。

6.喫煙と大腸がん
・大腸がんのリスクが上がる可能性がある。
・喫煙は大腸がんだけでなく、どのがんに対しても良くない。

<その他予防効果が高いといわれているもの>
ニンニク、牛乳、カルシウム、食物繊維
※女性はコーヒーもよい