第48回「糖尿病について学ぶ」

2014/12/12

第48回 生活習慣病教室 「糖尿病について学ぶ」

■日 時:平成26年11月19日(水)
     14時半~15時半

■場 所:牛久愛和総合病院
     B館2階大ホール

■講 師:糖尿病・代謝内科  河邉 聡子 医師
     糖尿病・代謝内科  宜保 英彦 医師
     糖尿病看護 認定看護師  栗山 千絵
     栄養科  管理栄養士
     薬剤科  薬剤師
     
今回は5名の講師によるリレー形式で講話を行いました。毎月開催されている糖尿病教室で取り上げている内容を要約してお話しして頂きました。

糖尿病とは

尿に糖が出る(混じる)ことからこの名前がつけられました。尿は血液から作られ腎臓を経由して体外へ排出されます。糖の濃度(血糖値)が高い血液が全身を巡りながら、血管を砂糖漬けにし、ドロドロにしてしまう...。それが糖尿病です。
血糖値を上げるものは沢山ありますが、下げるものはインスリンしかありません。食事量や糖の摂取量が多すぎるとインスリンの量が不足して、糖尿病になってしまいます。

診断基準

学会では、2回以上の検査もしくは典型的な症状がないと診断出来ない、と定められています。糖尿病発症初期は自覚症状がなく、進行してはじめて症状が現れる為、診断を受ける頃には、かなり病気が悪化してしまっていることが多いです。また、一度糖尿病であると診断を受けると治ることはなく、一生付き合わなければなりません。

治療方法

食事・運動・薬物の3つの療法があります。先の2つは生活習慣に関わることなので、患者自身が頑張らなければならないものです。それらをある程度行った上で、医師がお手伝い出来ることは、薬物療法だけなのです。治療に際し、「健康な方と同じ人生を送ること」が大切になります。

三大合併症

糖尿病は、血糖の高い血液が全身を巡る為、血管に起こる合併症が多く見られます。それらは、細い血管に起こる「細小血管障害」と太い血管に起こる「大血管障害」の2つに分けられます。中でも、細い血管に起こるものを三大合併症と呼びます。

細小血管障害 

  • 糖尿病網膜症
  • 網膜の細い血管が侵され、視覚障害の原因になります。

    <日本では年間3,000人以上の方が失明している>

  • 糖尿病腎症腎臓の働きが悪くなり、腎機能が低下します。それにより、体に老廃物が溜まってしまいます。腎不全に至ると腎移植や人工透析が必要になります。

    <日本では年間1,600人以上の方が人工透析を開始している>
  • 糖尿病神経障害手足のしびれや痛み、立ちくらみ、発汗異常、排尿障害、便通異常(下痢・便秘)、勃起障害(ED)などの症状が現れます。

    <世界では30秒に1本、足が切断されている>
  • 大血管障害 
    高血糖によって心臓や脳の太い血管が詰まりやすくなり、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症、閉塞性動脈硬化症等を招きます。これらが進行すると心筋梗塞や脳卒中が起こります。
    <血管が詰まりやすい要因→ストレス、喫煙、飲酒、高血圧、高コレステロール>

    *食生活の見直し、禁煙、適度な運動、ストレスをため込まない、定期的な検査を受けることが大切です。


    運動療法について

    食後は誰でも血糖値が上昇し、時間の経過と共に下がります。しかし、糖尿病の方は、上がったままの状態になってしまいます。そこで、運動の出番です。運動することによって食物から得たブドウ糖の利用が促進され、血糖値が下がります。その為、運動は糖尿病の方にとって重要な治療法なのです。

    ●運動のポイント

    • 有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせる
    • 頻度:週3~5回程度(運動の効果は2~3日続く為)
    • 時間:20~30分程度
    • 時間帯:血糖値が上がりやすい食後1~2時間
    • 水分補給をしながら行う(水かお茶)
    • 足に合った靴を選ぶ
    • かかりつけの医師によるメディカルチェックを受ける

    NEAT(ニート)の活用

    日常生活の活動で発生する熱量をNEAT(ニート)と呼びます。立ったり座ったり、階段を上る際に発生します。立っている時間を1日2.5時間増やすだけで、約350kcal(およそケーキ1個分)を消費できます。忙しくて運動する時間が取れない方は、活用してみてはいかがでしょうか。

    食物繊維を上手に摂って高血糖を防ぐ

    食物繊維とは体内の消化酵素では消化できない、食物中の難消化成分の総体を指します。
    食物繊維には2種類あります。

    水様性...血糖値上昇や高脂血症、高血圧の予防、食べ過ぎ防止、便秘解消効果がある
    <果物・野菜・こんにゃく・海藻に含まれる>

    不溶性...便秘予防・解消、大腸がん予防、食べ過ぎ防止効果がある
    <穀類・豆類・野菜に含まれる>

    ●食事のポイント

    • 豆類を取り入れる
    • 野菜・きのこ・海藻を毎食食べる(野菜は低カロリーで食物繊維が豊富)
    • 1日1回果物を食べる
    • <摂取基準 成人男性19g/日、成人女性17g/日>


    糖尿病の薬について

    現在20種類程の薬が出回っており、それぞれのニーズ合った使い方が出来るようになりました。大きく分けると3つに分類されます。

    • インスリンの抵抗性を改善する薬→インスリンの効きを良くする
    • インスリンの分泌を促進する薬→インスリンの量を増やす
    • 食後の高血糖改善薬→体内での糖の分解をゆっくりにする

    種類が増えたことに伴い、副作用も多くなってきました。最も多い副作用に「低血糖」があります。

    <低血糖の症状・・・冷や汗、急激な空腹感、倦怠感>

    低血糖は、通常砂糖や飴玉を摂れば症状が回復しますが、高血糖改善薬(上記3つ目の薬)を使用している方は、糖の分解が遅いので、なかなか血糖値が上がりません。その為、すぐには症状が回復しない為、注意が必要です。そういった場合は、ブドウ糖を摂取して対応しなければなりません。(当院薬局、外来で提供可)


    糖尿病教室

    からだ情報館にて毎月第2・第3・第4水曜に糖尿病が気になる方や予備群の方、治療中のどなたでもご参加いただける糖尿病教室を開催しています。病気のことや治療法等、テーマを決めて生活習慣病教室より詳しくお話ししておりますので興味のある方は是非ご参加下さい。